血糖の高い状態が続くと、もの忘れが増えたり、頭の回転が鈍く感じられたりすることがあります。糖尿病がある方やそのご家族から、そうした変化を心配する声を聞くことも少なくありません。
血糖のコントロールには気を配っていても、頭の働きまで意識する機会は、まだそれほど多くないかもしれません。
糖尿病と脳の働きの関わりは、これまでも心血管や腎臓への影響と並んで気に留められてきたテーマで、加齢が重なるといっそう強くなるとも言われています。
2026年8月19日、トルコの複数の大学からなる研究チームが、高齢の糖尿病モデルラットの脳を守る栄養素として亜鉛に着目した実験結果を、専門誌『International Journal of Molecular Sciences』に発表しました。
糖尿病によって傷んだ脳の中で何が起きていたのか、亜鉛を補うとその変化がどこまで戻ったのか、そして健康なラットに同じ亜鉛を与えた場合にはどうだったのか。今回はこの報告を、できるだけ原文に沿って読み解きます。
記事の要点
トルコの複数大学からなる研究チームが、生後18か月の高齢な糖尿病ラットに硫酸亜鉛を1日10mg、4週間にわたり投与し、脳への影響を調べました。
糖尿病ラットの海馬では酸化ストレスの指標MDAが下がり、SIRT-1やBDNFといった脳を守る遺伝子の発現も回復していました。
神経細胞の変性も抑えられましたが、健康なラットに亜鉛だけを4週間与えた場合は、一部の脳領域でむしろ変性が増える所見もありました。