グルタチオンという名前を聞いたことがあるでしょうか。体内で作られる強力な抗酸化物質で、細胞を酸化ストレスから守り、解毒作用にも関わる重要な分子です。
美容やアンチエイジングの文脈で語られることも多いですが、実はグルタチオンの働きはそれだけにとどまりません。
近年、グルタチオンの枯渇がアルツハイマー病やパーキンソン病、多発性硬化症といった神経変性疾患と深く関わっている可能性を示す研究が蓄積されてきています。
日本は世界有数の高齢社会であり、認知症は切実な課題です。厚生労働省の推計によれば、認知症の人の数は今後も増加が見込まれています。
こうした状況の中で、脳の健康を細胞レベルで考えるアプローチは注目に値します。2026年3月、アメリカのInid Research Labが、グルタチオンと認知機能の関連性についての最新の科学的レビューを踏まえたプレスリリースを発表しました。
記事の要点
- Frontiers in Pharmacologyに掲載されたレビューで、細胞内グルタチオン(GSH)の枯渇がアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経変性疾患における免疫機能と抗酸化能力の低下に寄与していることが報告された。
- 一般的なグルタチオンサプリメント(リポソーム型を含む)やNAC(N-アセチルシステイン)では、細胞内のグルタチオン濃度を十分に引き上げることが難しいとされている。
- グルタチオンの直接的な前駆体であるガンマ-グルタミルシステイン(GGC)は、グルタチオンの恒常性調節を回避して細胞内に入り込み、そこで生体利用可能なグルタチオンに変換されるため、従来のサプリメントより効率的にGSHレベルを高められる可能性があるとされている。