子どもの血中鉛濃度について、アメリカ疾病対策センター(CDC)が「注意が必要」とする参照値は、いまでは3.5µg/dLに設定されています。1960年代には60µg/dLが目安でしたから、半世紀あまりで基準は20分の1以下まで引き下げられたことになります。
これは鉛という金属が、ごく低い濃度でも体に影響しうると考えられるようになった歴史でもあります。
鉛は水道管や古い塗料、土壌、一部の食品などを通じて、知らないうちに体内へ入り込むことがあります。いったん入ると、その大部分は骨に長くとどまります。では、すでに体に入ってしまった鉛に対して、私たちにできることはあるのでしょうか。
International Journal of Molecular Sciencesに2026年5月28日付で掲載されたZuzanna Romanowskaらのレビュー論文は、スピルリナ・クルクミン・ガーリック(ニンニク)・ビタミンC・ビタミンEという身近な5つの抗酸化物質を、単なる栄養補助ではなく「鉛中毒に対する潜在的な解毒剤」として位置づけ、その仕組みを横断的に整理しています。
◼️記事の要点
鉛は経口摂取の場合、子どもで40〜50%、大人で3〜10%が吸収され、その約95%が骨や歯に蓄積すると報告されています。血中濃度10µg/dL以上が毒性の目安とされています。
レビューでは、5つの抗酸化物質が動物実験で血中や臓器の鉛濃度を下げ、酸化ストレスや炎症の指標を改善したと報告されています。金属に結合する働きと、細胞内のシグナル伝達を調整する働きの両方が注目されています。
著者らは、これらの成分が鉛の毒性をやわらげる役割を担いうると述べています。一方で、ヒトでの安全な有効量はまだ定まっておらず、ビタミンC・Eには摂取量の上限も示されています。