ゆで落花生に多いレスベラトロール:初秋の新豆はビタミンEとオレイン酸で血管を守る

初秋のこの時期、千葉県をはじめとする産地では、掘りたての生落花生が出回ります。乾かして煎る前の、みずみずしい新豆をそのまま塩ゆでにした「ゆで落花生」は、旬の今しか味わえない秋の楽しみです。ほくほくとした食感と、豆のやさしい甘みは、煎った落花生とはまた違った持ち味があります。

落花生というと脂肪が多く高カロリーな豆、という印象を持つ方もいるかもしれません。けれど、その脂肪の中身や、種実ならではの栄養を見ていくと、血管をやさしく支える成分が詰まった食材であることが見えてきます。しかも、ゆでるという食べ方には、煎ったものにはない栄養上の面白さもあります。今回は、初秋のゆで落花生を入り口に、その栄養を成分から読み解いていきます。

記事の要点

  • らっかせいの未熟豆をゆでたもの(ゆで落花生)は、日本食品標準成分表で可食部100gあたりビタミンE(α-トコフェロール)6.8mg、マグネシウム86mg、ナイアシン8.2mgと、抗酸化やミネラルの面で見どころがあります。
  • 落花生の脂質はその半分近くを一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が占め、ナッツ類の摂取と心血管の健康との関わりが数多くの研究で報告されています。
  • 落花生に含まれるポリフェノールのレスベラトロールは、ゆでた落花生で生や煎りより多く検出されたという報告があり、ゆでるという食べ方が持つ特長として注目されます。

初秋の食卓に並ぶ、ゆで落花生

落花生は、花が咲いたあとに子房が地中にもぐって実る、変わった育ち方をするマメ科の作物です。国内では千葉県が主要な産地として知られ、秋になると掘りたての生の新豆が出回ります。乾燥・焙煎した落花生は一年を通して手に入りますが、生落花生とそれをゆでたゆで落花生は、収穫期の初秋に限られる季節の味です。おおまさりのような大粒の品種は、ゆでるとほくほくとした豆らしい甘みが引き立ち、旬ならではのごちそうになります。

食べ方はいたってシンプルで、さやごと塩水でゆでるだけ。殻を割って中の豆を取り出し、そのままつまむ楽しさは、この時期の食卓の風物詩です。まずはこの一皿から、落花生に詰まった栄養へと降りていきましょう。

抗酸化のビタミンEと、血管に働くオレイン酸

ゆで落花生の栄養で最初に挙げたいのが、ビタミンEです。日本食品標準成分表によれば、らっかせいの未熟豆をゆでたものは、可食部100gあたりα-トコフェロールを6.8mg含みます。ビタミンEは脂に溶ける抗酸化物質で、細胞膜が酸化によって傷むのを防ぐ働きで知られ、血管や肌の健康を語るうえでよく取り上げられる栄養素です。

もう一つの注目点が、脂質の中身です。落花生は脂質が多い食材ですが、その脂肪酸のおよそ半分を占めるのが、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸です。オレイン酸はオリーブオイルにも多い脂肪で、血中の脂質の状態を良好に保つ方向に働くと考えられてきました。実際、高オレイン酸の落花生を用いた研究では、血中のリポたんぱくのバランスが改善したという報告があります。さらに、多くのナッツ類の摂取と心血管の健康を見た研究では、落花生を含むナッツをよく食べる人ほど、心血管の病気やその死亡のリスクが低い傾向が繰り返し示されてきました。落花生は、ビタミンE、オレイン酸、そして後で触れるマグネシウムと、血管をやさしく支える成分がそろった種実といえます。

加えて、ゆで落花生には可食部100gあたりマグネシウムが86mg、ナイアシンが8.2mg含まれます。マグネシウムは体内の数多くの酵素の働きや、血管・筋肉の調子に関わるミネラルで、現代の食生活で不足しがちなことが指摘されています。ナイアシンはエネルギーの代謝に関わるビタミンB群の一つです。たんぱく質も100gあたり11.9gと、豆らしくしっかり含まれています。

ゆでるという食べ方が引き出す、レスベラトロール

落花生を語るうえで見逃せないのが、レスベラトロールというポリフェノールです。赤ワインに含まれることで広く知られるようになった抗酸化成分で、落花生にも含まれています。興味深いのは、調理法によってその量が変わるという点です。

生・ゆで・煎りの落花生を比べた研究では、レスベラトロールはゆでた落花生でとくに多く検出され、煎ったものではごくわずかだったと報告されています。同じ研究では、ゆでた落花生が総フラボノイドやポリフェノールの含量でも高い値を示したとされ、ゆでるという食べ方が、落花生の持つ抗酸化成分を引き出す方向に働くことがうかがえます。秋にしか味わえないゆで落花生は、旬の味覚であると同時に、こうしたポリフェノールをとりやすい食べ方でもある、という見方ができます。

暮らしへの取り入れ方

ゆで落花生は、さやごと塩ゆでにして、そのままつまむのがいちばん手軽です。旬の生落花生が手に入ったら、ぜひ一度ゆでたてを味わってみてください。ほくほくとした食感は、煎った落花生とは別の魅力があります。脂質が多くエネルギーもそれなりにある食材なので、一度にたくさんではなく、手のひらにのる程度を目安に、日々の間食や一品として楽しむのがちょうどよいでしょう。

旬を過ぎたあとは、煎った落花生や、無塩・素焼きのピーナッツとして一年を通して取り入れられます。薄皮にもポリフェノールが含まれるため、皮ごと食べられるものは皮ごといただくのもよい方法です。海外の読者の方には、日本の初秋にだけ出回るこの「ゆで落花生」という食べ方と、掘りたての新豆を塩ゆでで味わう季節の楽しみを、ぜひ知っていただきたいところです。旬のものを、旬の時期においしくいただく。ゆで落花生は、その喜びを豊かな栄養とともに届けてくれる、初秋の一皿です。

まとめ

初秋に出回るゆで落花生は、可食部100gあたりビタミンE6.8mg、マグネシウム86mg、ナイアシン8.2mgを含み、脂質の半分近くを血管にやさしいオレイン酸が占める種実です。ナッツ類の摂取と心血管の健康との関わりは数多くの研究で報告されており、落花生はその一員として位置づけられます。さらに、レスベラトロールというポリフェノールはゆでた落花生で生や煎りより多く検出されたという報告があり、ゆでるという食べ方ならではの特長として注目されます。掘りたての新豆を塩ゆでで味わえるのは、今の季節だけ。初秋のゆで落花生を、その栄養とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。

参考文献

  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」種実類/らっかせい/未熟豆/ゆで(食品番号06304)
  • Chukwumah Y, et al. Changes in the Phytochemical Composition and Profile of Raw, Boiled, and Roasted Peanuts. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2007.(ゆで落花生でレスベラトロール・総ポリフェノールが高値)
  • ナッツ・落花生の摂取と心血管疾患リスクに関する前向きコホート研究・メタ解析の報告/高オレイン酸落花生と血中脂質に関する研究