Japan Health Weekly は、その週に公開した記事をまとめてお届けする週刊ニュースレターです。
対象期間:2026年9月7日(月)~9月13日(日)
※本文中の記事リンクは「記事の要点」までどなたでもお読みいただけます。続きはJapan Healthフルアクセスでご覧いただけます。
今週のハイライト
この週、Japan Health では38本の記事を公開しました。
並べてみると、今週は「単体の栄養素の効き目」よりも、体がどう受け取るか、何と組み合わさるかに焦点が当たった記事が目立ちました。きのこに多いエルゴチオネインは、体では作れないぶん専用の運び手を使って熱心にため込まれていました。
ビタミンK2とD3は、Dがブレーキ役のたんぱく質の材料を増やし、Kがそれを仕上げるという二段構えで冠動脈の石灰化を遅らせています。マグネシウムとビタミンDも、単独より併用したときに血圧への相乗が見えてきました。
地中海食と良い睡眠も、それぞれ単独ではなく両方そろったときに、肺がんの発症で最も大きな差が出ています。「何を」だけでなく「どう扱われるか」「何と組み合わせるか」。38本のなかから、そこを軸に3本を選びました。
今週の注目記事
01|きのこに多い「長寿ビタミン」エルゴチオネイン

秋になると、まいたけやしいたけ、しめじが食卓に並ぶ機会が増えてきます。そんな身近なきのこに、近年あらためて注目されている成分があります。名前はエルゴチオネイン。1世紀以上前から知られていた古い成分ですが、2026年に栄養学の一流誌が「加齢に伴う病気から体を守る食由来の成分」として総説にまとめ、再び光が当たりました。
この成分の大きな特徴は、私たちヒトの体の中では作ることができない、という点です。体内にあるエルゴチオネインは、基本的に食事を通じて外から取り入れたものだと考えられています。研究者の中には「長寿ビタミン」と呼ぶ人もいるほどです。
興味深いのは、体がこの成分を専用の入り口(OCTN1という運び手)を使って熱心に取り込み、ためこもうとしている点です。わざわざ専用の輸送体を用意するということは、体にとって何か意味のある成分である可能性を示唆しています。
実際、複数の研究で、血液中のエルゴチオネインが少ない人ほど、加齢に伴う病気、とくに神経の老化に関わる病気のリスクが高いという関連が報告されています。
うれしいことに、エルゴチオネインを多く含む代表的な食材が、身近なきのこです。まいたけ、しいたけ、しめじ、ひらたけなど、木を分解する力を持つ種類でとくに濃度が高い傾向がみられ、しかも熱に強く、加熱してもむしろ濃度が増える傾向があるとされています。
炒める、煮る、汁物に入れるといった普段の調理で、無理なく取り入れられる成分です。旬のきのこを一品、いつもの食事に加えるところから始めてみてはいかがでしょうか。
https://www.japanhealthlab.jp/n8718486ebe8b/
02|ビタミンK2とD3は重い冠動脈石灰化も遅らせた

健康診断で「心臓の血管に石灰化があります」と言われたら、もう手の打ちようがないのだろうか。そんな問いに正面から答える臨床試験の結果が、2026年8月28日、米国心臓協会の学術誌Circulationに発表されました。デンマークのDANCODE試験です。
すでに重度の冠動脈石灰化があると判定された398人に、ビタミンK2とビタミンD3を2年間続けてもらったところ、CACスコア(石灰化の進み具合を示す指標)の伸びは介入群196に対しプラセボ群248。差の52は、プラセボ群の伸びのおよそ2割にあたります。効果は男女を問わず、石灰化がすでに1000を超えている最も重い層でも一貫していました。
この仕組みを説明するのが、血管の壁でカルシウムの沈着を抑えるブレーキ役のたんぱく質MGPです。ビタミンDがその材料を増やし、ビタミンKが仕上げの工程を担う。この二段構えが今回の設計でした。石灰化の進行を抑えても、破れやすい非石灰化プラークが増えることはなく、硬い部分の増え方だけがゆるやかになっていたことも確認されています。
https://www.japanhealthlab.jp/n88562d6bdd94/
03|地中海食と良い睡眠がそろう人は肺がんが少なかった

食事と睡眠は、たいてい別々の悩みとして語られます。ところが2026年、栄養学の専門誌European Journal of Nutritionに、この二つを一つの生活パターンとしてまとめて見た大規模調査が公開されました。
イギリスの成人192,034人を中央値14年間追跡したこの調査では、地中海食の点数と睡眠の点数をそれぞれ三段階に分け、9つの組み合わせで肺がんの発症を比べています。
結果、両方の点数が最も高い群は、両方とも最も低い群より肺がんの発症が43%低いという関連が報告されました(SHR 0.57、95%信頼区間0.41〜0.79)。喫煙などの影響を統計的に調整したうえでの結果ですが、観察研究であり因果を証明したものではありません。
野菜と豆を一皿増やす、油はオリーブオイルを選ぶ、就寝の時刻をなるべく一定にする。食事と睡眠を別々の宿題として抱え込まず、両方をゆるやかにそろえていくことが、遠い先の健康と静かに結びついているのかもしれません。
https://www.japanhealthlab.jp/nbaa33acd8a56/
アーカイブからもう一度
日本人の98%はビタミンD不足:忍び寄る無自覚の危機(2026年2月公開)

今週の注目記事02では、ビタミンK2とD3の組み合わせが冠動脈の石灰化を遅らせるという話をお届けしました。そもそも、そのビタミンDが日本人にどれだけ足りているのか、あらためて基礎に立ち返った記事が過去にあります。
東京慈恵会医科大学の研究チームが、都内で健康診断を受けた約5,518人の血液データを解析したところ、国の基準(30ng/mL以上)を満たしていたのはわずか2%。残る98%が不足または欠乏の状態でした。とくに10代から30代の若い世代ほど不足が目立ち、日照時間が短くなる冬から春にかけて濃度がさらに下がる季節変動も報告されています。
手のひらを太陽に向ける日光浴、鮭や青魚、きのこを意識した食事、それでも足りない分はサプリメントで。今週のK2×D3の話とあわせて、ビタミンDそのものを見直すきっかけにしていただければと思います。
https://www.japanhealthlab.jp/ndb600cf25c5d/
食材図鑑|保存用クイックシート
今回は、ごまと豆腐の2枚を見本としてご紹介します。栄養・保存・調理のポイントを、それぞれ1枚にまとめました。

保存・印刷用のクイックシートPDFの配布方法は、今後検討します。
今週公開した記事
この週に公開した38本です。気になるものがあれば、どうぞ。
9月7日(月)
- 最新|睡眠時無呼吸とマグネシウム:血清中間域で無呼吸オッズが約7割低かった
- 最新|ビタミンCと脂肪組織の代謝:90日間でアディポネクチンと腹囲が改善した
- 最新|オメガ3と動脈のしなやかさ:20試験の55%で脈波伝播速度が低下した
- 動いていないのに疲れるのはなぜ?ストレスへの対応にも細胞はエネルギーを使う
- 最新|毎日のくるみと食事の炎症:2年間で食事性炎症指数が対照群より低下した
- 眠りが規則的な人は骨粗鬆症になりにくかった:睡眠の長さ・効率・リズムが骨と関係した
9月8日(火)
- 最新|食物繊維だけじゃなかった:植物性たんぱく質も消化されずに腸内細菌の良いエサになる
- 最新|クルミを続けて食べた人は血管がしなやかになった:血管機能の指標FMDが改善した
- 最新|夜型で睡眠が乱れた人は肺炎・下気道感染が1.5倍だった:睡眠リズムとビタミンDのつながり
- 最新|歯周病とセレンの関係:抗酸化と炎症の調節で歯と歯ぐきの健康を支える
- 潰瘍性大腸炎と腸のバリア:ビタミンDと亜鉛は免疫と粘膜の維持を支えます
9月9日(水)
- 最新|運動後の牛乳とギリシャヨーグルト:4時間後のIL-10が高まり抗炎症側へ動いた
- 最新|DMSOは血流を多方向から支える:血小板・内皮・組織灌流に働く証拠が集まった
- 最新|ロングCOVIDの疲労は細胞の発電所から始まる:ミトコンドリア損傷が症状をつないだ
- 最新|硫酸塩・マグネシウム水で便通が早まった:反応までの日数は16日から9日に短縮した
- ごま完全図鑑|起源、栽培、栄養、脂質、加工、歴史、安全性まで
9月10日(木)
- 最新|運動後の筋肉痛を和らげたのはザクロとタルトチェリー:筋力やダメージ指標には差が出なかった
- 最新|疲れや思考力低下の陰にミネラル不足:細胞の発電効率は食卓から支えられる
- 最新|磁性細菌が線虫の平均寿命を43%延ばした:鉄による細胞死を抑え健康寿命も伸ばした
- 最新|地中海食と良い睡眠がそろう人は肺がんが少なかった:最も高い群で発症が43%低かった
- 片頭痛で補給して改善が報告された栄養素:リボフラビンは59%が発作半減、プラセボは15%だった
9月11日(金)
- 最新|CoQ10で空腹時血糖・HbA1c・中性脂肪が下がった:血圧とLDLは変わらなかった
- 最新|キウイを1日3個で収縮期血圧が約6mmHg下がった:血圧高めの人でとくに大きかった
- 最新|ビタミンK2とD3は重い冠動脈石灰化も遅らせた:2年間で進行が2割ゆるやかになった
- 栄養素から探す|Japan Health 記事の歩き方
- 最新|健康的な食べ方の人ほど体の老化がゆっくりだった:10通りの食事が同じ体内経路にたどり着いた
- きのこに多い「長寿ビタミン」エルゴチオネイン:体で作れず少ないほど加齢性の病気が増えると報告された
9月12日(土)
- 最新|内分泌かく乱物質への備え:71研究で栄養状態が健康影響を弱める可能性が示された
- 最新|肥満でも鉄が足りない「隠れ鉄不足」:地中海食が鉄をいちばん守った
- 最新|血糖値が気になる人の朝食:豆・低GI・ホエイで食後血糖もHbA1cも下がった
- 最新|乳たんぱくとペプチドで睡眠効率が上がった:4週間続けると中途覚醒が10分減った
- 食物繊維でお腹が張るのはなぜ?:腸へ届く速さでガスが出る時間帯が変わる
9月13日(日)
- 最新|プロバイオティクスで記憶が守られた:24週間で脳のタウたんぱくが減った
- 最新|運動後の水分補給は100%果汁でもいい:スポドリと同等に水分が戻り血糖は穏やかだった
- 最新|子どもの虫歯が気になるなら:ビタミンDが足りない子で3.2倍多く見つかっていた
- コロナ後遺症はなぜ長引くのか:症状を生む四つの経路が治療と食事をつなぐ
- 最新|マグネシウムとビタミンDは一緒がいい:併用で血圧が下がる相乗が見えてきた
- 豆腐完全図鑑|起源、製法、栄養、大豆成分、食文化、選び方、安全性まで
あとがき

先日、スーパーでかぼちゃを買って食べました。
そのときの種をとっておき、庭に植えてみたところ、こんなに立派なかぼちゃが育ちました。
食べ終えたかぼちゃの種が、土の中で育ち、また実になって戻ってくる。収穫できたときは、ちょっと感動しました^^
次号予告
次号(第2号)も公開しています。