しゃきっとした生のりんごをひとかじりした直後、唇がむずむずし、舌やのどに軽いかゆみを感じる。ところが、アップルパイやジャムなら何事もなく食べられる。そんな不思議な違いを経験する人がいます。桃やさくらんぼでも似た反応が起き、花粉の季節に強く感じることもあります。好きな果物なのに、突然食べ方を迷う症状です。
口に入れた食品で起きるため、りんごそのものへの食物アレルギーのように見えます。けれども反応の始まりは、鼻から吸い込んだ花粉にある場合があります。花粉に反応するためにつくられたIgE抗体が、形のよく似たりんごのたんぱく質にも結合してしまうのです。これは花粉・食物アレルギー症候群と呼ばれます。
なぜ症状は口の周りに速く現れ、加熱すると変わるのでしょうか。花粉を覚えた免疫、りんごのたんぱく質、口腔粘膜の肥満細胞、調理による構造変化を順にたどると、同じ果物でも食べ方によって反応が変わる理由を理解できます。
記事の要点
- 生のりんごで口がかゆくなる反応には、花粉に対するIgE抗体が、形の似たりんごのたんぱく質にも結合する交差反応が関わります。
- 花粉・食物アレルギー症候群の代表的なりんごのアレルゲンMal d 1は熱と消化に弱く、生では口腔粘膜に反応しやすい一方、十分な加熱で症状が出にくくなる人がいます。
- 福井県の調査では、りんごで口腔症状が出た34人中28人がMal d 1特異的IgE陽性で、食品・調理法・量の記録が原因確認に役立ちます。
この先では、シラカバ花粉症とりんごの交差反応に関する日本の地域調査データや、品種・成熟度によるアレルゲン量の違いをふまえ、日常生活で果物を安全に楽しむための具体的な見極め方と自己管理のステップを詳しく解説します。
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