産院の新生児室に並ぶ小さなベッド。生まれてまだ数時間の赤ちゃんの体には、菌などまだ何もいないように見えます。けれど産道を通り抜け、母乳を口にしたその瞬間から、赤ちゃんの腸の中ではすでに細菌の定着が始まっています。
この時期に腸へ入り込んだ菌の顔ぶれは、その後の消化や免疫の育ち方にも関わっていくといわれています。
赤ちゃんの腸内細菌は、産道を通るときにもらうもの、母乳を通じて渡されるもの。そう考えられてきました。ところが714組の母子を1年間にわたって追いかけた大規模な研究は、この理解をひっくり返しました。
赤ちゃんの腸に棲みつく菌のうち最も多かった出どころは、産道でも母乳でもなく、母親自身の腸そのものだったのです。
記事の要点
オランダの母子714組・便4,526検体を1年間追った研究で、赤ちゃんの腸内細菌は母親の腸由来の菌株が中心だったと報告されました。
母子の菌株共有は出産後の時間経過とともに変化し、母親の腸内で多く見つかる菌株ほど乳児に伝わりやすい傾向が確認されています。
妊娠中から出産後にかけて母親の腸内細菌の多様性が低いと、家族のアレルギー歴を考慮しても乳児の湿疹発症との関連が見られたと報告されています。