ウイルスの侵入を見張るたんぱく質のひとつに、「レチノイン酸誘導遺伝子I」、略してRIG-Iという名前のものがあります。レチノイン酸はビタミンAが体の中で変わってできる物質で、RIG-Iは、そのレチノイン酸を加えた細胞で増える遺伝子として最初に見つかりました。
ドイツ・アーヘン工科大学病院の免疫学と老年医学のチームは、入院中の高齢者75人と若い人41人の血液を使い、ウイルスに対する反応と亜鉛の関係を調べました。2026年10月に臨床栄養学の専門誌Clinical Nutritionに受理され、正式な掲載前の版が公開されています。
この研究が注目したのは、ウイルスを見つけたあとに働く転写因子IRF3と亜鉛でした。RIG-Iは、そのIRF3よりも手前で、ウイルスを見つける側にいます。
記事の要点
- 亜鉛が足りていると判定された高齢者の血液は、ウイルスで刺激したときに、不足の人の約2倍のインターフェロンαを出しました。
- ウイルスのRNAを見つけてIRF3へ合図を送るRIG-Iは、ビタミンAの活性型レチノイン酸が受容体を通じて増やす分子で、培養細胞ではRIG-Iが働かないとレチノイン酸の抗ウイルス作用が消えました。
- 日本人のビタミンAの平均摂取量は推奨量に届いておらず、緑黄色野菜を少しの油と一緒に、レバーやうなぎはときどき少量で、という組み合わせが食卓での手立てになります。
この先では、ウイルスを見つけるRIG-Iと、亜鉛が支えるIRF3が、同じ経路のどこにいるかを図で整理します。ビタミンAの活性型がRIG-Iを増やすしくみと、麻疹の子どもでのビタミンAの試験結果、にんじん・しゅんぎく・うなぎなどの含有量と、日本人の摂取量と推奨量の差も紹介します。
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