最新|致死性の肺がんに隠れていた免疫兵器:その働きをビタミンAが支えていた

最新|致死性の肺がんに隠れていた免疫兵器:その働きをビタミンAが支えていた

がん細胞の表面には、本来、自分の中身の切れ端を免疫に見せる「掲示板」があります。MHCクラスIと呼ばれる分子です。ふつうのキラーT細胞は、この掲示板に貼られた異常な切れ端を読んで、がん細胞を見つけます。

肺がんの中でも進行が速い小細胞肺がんは、この掲示板の働きを遺伝子のスイッチごと切ってしまうことが知られています。

2026年に学術誌Cancer Cellに掲載された、オーストラリアのWEHI(ウォルター・アンド・イライザ・ホール医学研究所)を中心とする研究は、掲示板を見なくてもがんを見つけられる免疫細胞、γδ(ガンマデルタ)T細胞が、この腫瘍の中で働いていることを報告しました。

ScienceDailyに掲載された研究所の発表によると、小細胞肺がんは診断から5年生きられる人が7%に満たない、最も治りにくいがんの一つです。免疫の働きを引き出す治療薬も、長く効く人は限られています。そこへ、別の入口からがんを見つける細胞が加わる可能性が示されました。

このγδT細胞には、腫瘍の中で「疲れ」の印を身につけていく性質もあります。その疲れの印を抑える働きが、ビタミンAからできるレチノイン酸で確かめられています。

記事の要点

  • 小細胞肺がんの腫瘍にγδT細胞が入り込み、多い人ほど免疫療法の効果が良い傾向が二つの臨床試験のデータで確認されました。
  • 骨粗しょう症の薬ゾレドロン酸は、がん細胞をγδT細胞に攻撃されやすくし、この細胞を培養で増やすときにも使われています。
  • ビタミンAからできるレチノイン酸は、細胞内の受容体を通してγδT細胞の疲れの印Tim-3を減らし、がんへの攻撃物質を増やすことが、細胞とマウスで確かめられています。

この先では、γδT細胞が掲示板を使わずにがんを見つける仕組みと、レチノイン酸が細胞の核の中でどの遺伝子に働きかけるのかを、図で整理します。ビタミンDやビタミンCとの関係、肺がん予防でβ-カロテンのサプリが逆の結果になった試験、日本人のビタミンA摂取量と食品ごとの量も紹介します。

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