2007年から2018年にかけて集められた、アメリカの成人13,284人分の栄養調査データの中に、鉄についての意外な分かれ目が隠れていました。
中国・杭州師範大学の研究チームが、アメリカ国民健康栄養調査(NHANES)のデータを使い、鉄の摂取源と「生物学的年齢」の関係を分析した研究を、Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition誌に発表しています。
結論を先に言うと、同じ鉄でも、食事から摂る鉄とサプリメントから摂る鉄とでは、老化への影響の向きがまるで逆でした。鉄は長らく「不足すれば貧血、摂りすぎれば中毒」という両面を持つミネラルとして扱われてきましたが、今回の研究はその扱いに「どこから摂ったか」という新しい軸を加えています。
記事の要点
- 食事由来の鉄摂取が多い人ほど、生物学的年齢は若い方向に関連していました。
- 一方でサプリメント由来の鉄は、1日18mgを超えると老化を加速させる方向に関連していました。
- 血清鉄の値には老化にもっとも有益な「至適範囲」があり、15.2〜18.8µmol/Lと報告されています。
この先では、食事由来とサプリ由来で鉄の影響が逆転するメカニズムや、血清鉄の至適範囲(15.2〜18.8µmol/L)の医学的背景を詳しく解説しています。さらに、閉経後や慢性疾患における注意点と、日常で実践できる「ちょうどいい鉄の摂り方」も紹介しています。