プロテインもカルシウムも:マグネシウムを必要とする理由がまったく違っていた

プロテインもカルシウムも:マグネシウムを必要とする理由がまったく違っていた

健康のためにプロテインを取り入れる人は、ここ数年でずいぶん身近になりました。トレーニングのあとに飲む人もいれば、朝食代わりに手軽なタンパク源として選ぶ人もいます。骨のためにカルシウムを意識する人も同じくらい身近です。乳製品や小魚、豆腐や納豆を積極的に選び、カルシウムのサプリメントを取り入れる方もいます。

どちらも、体を大切にする前向きな選択です。そのうえで研究をたどっていくと、タンパク質を増やすこととカルシウムを増やすことは、どちらも別の栄養素であるマグネシウムの出番を広げています。

面白いのは、その広げ方がまったく違うという点です。タンパク質は体の中でマグネシウムを実際に働かせる場面そのものを増やし、カルシウムは摂り方のバランスでマグネシウムの立ち位置を変えます。その二つの道筋を、研究に沿って紹介します。

記事の要点

  • タンパク質を多く摂る生活では、体内でタンパク質をつくる酵素がマグネシウムを使う場面が増え、必要量そのものが底上げされると報告されています。
  • カルシウムは1日2600ミリグラムを超えるあたりから吸収でマグネシウムと綱引きを始め、骨の研究では2対1から3対1程度の比率が支持されています。
  • プロテインを習慣にしている人も、骨のためにカルシウムを意識している人も、そのぶんマグネシウムを含む食品を食卓に加える価値が大きくなります。

プロテインもカルシウムも、意識する人が増えている

筋肉のため、骨のため、と一つひとつの栄養素に目を向けることは、体との付き合い方が丁寧になってきた証でもあります。ただ、栄養素は単独で働いているわけではありません。

タンパク質やカルシウムを増やしたとき、体の中ではもう一つのミネラルが静かに仕事量を増やしています。それがマグネシウムです。

タンパク質をつくる現場で、マグネシウムが働いている

体の中でタンパク質がつくられるとき、その現場ではマグネシウムが酵素として働いています。

アミノ酸をつなぎ合わせる装置であるリボソームが正しく組み上がるにも、アミノ酸を運ぶtRNAを働かせる酵素にも、エネルギー源のATPを実際に使える形にするにも、マグネシウムが関わっています。タンパク質をつくるという作業そのものが、マグネシウムを動かして進む仕組みになっています。

1954年に発表された研究では、タンパク質の摂取量を増やすとタンパク質を合成する過程で必要になるマグネシウムの量も増え、それは新しくできた組織にマグネシウムが取り込まれる分だけでは説明できないと報告されています。タンパク質を多く食べるほど、体の中でマグネシウムを使う仕事量そのものが増えているという見方です。

この関わりは、体を活発に動かす人たちのデータにも表れています。2023年に発表された、14件の研究をまとめた系統的レビューでは、日常的にトレーニングを行う人855人と、そうでない人たちの食事や血液のデータが比較されました。

トレーニングを行う人たちは食事からのマグネシウム摂取量がむしろ多かったにもかかわらず、血液中のマグネシウム濃度は低く、尿として排泄される量は多いという結果が報告されています。タンパク質の合成や筋肉づくりが活発な体は、摂った分を上回るペースでマグネシウムを使っている可能性を示す結果です。

カルシウムを増やすなら、比率で考える

カルシウムとマグネシウムの関わりは、少し性質が異なります。腸で吸収されるときに経路が重なる場面があり、そこでカルシウムとマグネシウムが関わり合っています。

米国医学アカデミーがまとめた摂取基準の報告では、カルシウムの摂取量が1日2000ミリグラム程度までであればマグネシウムの収支に目立った影響は見られず、影響が報告され始めるのは1日2600ミリグラムを超えるあたりからだとされています。

二つのミネラルを摂る比率そのものに注目する研究もあります。2023年にプエルトリコ系の高齢者955人を対象に行われた研究では、食事からのカルシウムとマグネシウムの摂取比率がおよそ2対1から3対1の範囲にある人たちで骨粗しょう症のリスクが最も低く、この比率がそれより高くても低くても、リスクは同じように高まっていたと報告されています。

実際に、米国の食事調査では近年この比率が3対1を超える水準まで上がってきていることも報告されており、カルシウムを摂る機会が増えるほど、比率を保つ側のマグネシウムにも意識が向きやすくなります。

食卓でマグネシウムの居場所を増やす

タンパク質は使う量そのものが増え、カルシウムは比率で考える。性質は違っても、たどり着く先は同じで、プロテインやカルシウムを意識する食生活には、マグネシウムを合わせて増やす余地があります。

マグネシウムは、ほうれんそうや小松菜などの葉物野菜、アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類、豆腐や納豆などの大豆製品、わかめや昆布などの海藻、玄米や全粒粉のような未精製の穀物に多く含まれています。

プロテインを飲んだ食事にナッツをひとつかみ添えたり、カルシウムを意識した献立に海藻の一品を加えたりすることは、日々の食卓に無理なく取り入れられる形です。

まとめ

プロテインでタンパク質を補うことも、骨のためにカルシウムを意識することも、体を大切にする前向きな習慣です。

その習慣が広がるほどマグネシウムの出番も広がっているという今回の研究は、もう一品を食卓に選ぶときの具体的なヒントになります。

タンパク質にもカルシウムにも、マグネシウムという相棒を添える食卓を、今日から始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

* Menaker W(1954)Proceedings of the Society for Experimental Biology and Medicine:Influence of Protein Intake on Magnesium Requirement during Protein Synthesis
* Zhang H, Wang R, Guo S, et al.(2023)Food Science and Human Wellness:Lower serum magnesium concentration and higher 24-h urinary magnesium excretion despite higher dietary magnesium intake in athletes: a systematic review and meta-analysis
* Institute of Medicine(National Academies Press):Dietary Reference Intakes for Calcium, Phosphorus, Magnesium, Vitamin D, and Fluoride - Magnesium
* Costello RB, Rosanoff A, Dai Q, Saldanha LG, Potischman NA(2021)Advances in Nutrition:Perspective: Characterization of Dietary Supplements Containing Calcium and Magnesium and Their Respective Ratio—Is a Rising Ratio a Cause for Concern?
* Fouhy LE, Mangano KM, Zhang X, Dawson-Hughes B, Tucker KL, Noel SE(2023)The Journal of Nutrition:Association between a Calcium-to-Magnesium Ratio and Osteoporosis among Puerto Rican Adults