マグネシウムの吸収を食事から考える:アーモンド由来でも水に溶ける形と同程度に取り込まれた

マグネシウムの吸収を食事から考える:アーモンド由来でも水に溶ける形と同程度に取り込まれた

アーモンドの中にあるマグネシウムは、食べたあと、どれくらい体へ届くのでしょうか。含まれる量に加えて、食品から実際に取り込まれる量まで調べた人の試験があります。そこで見えたのは、アーモンドのマグネシウムも、よく溶けるマグネシウム塩と同程度に吸収されるという結果でした。

1991年の『Journal of Clinical Investigation』に掲載されたこの研究は、食品と補給品の比較だけでなく、一度に摂る量も段階的に変えています。量を増やしたときの腸の反応、アーモンドからの取り込み、錠剤の被膜による違いをたどると、栄養素が体へ届くまでの過程が具体的に見えてきます。

記事の要点

  • 健康な男性8人の試験では、アーモンド由来のマグネシウムは、水に溶ける酢酸マグネシウムと同程度に吸収されました。
  • 一度に摂るマグネシウムを約36〜975mgの範囲で増やすと、吸収量は増え、吸収率は約65%から11%へ下がりました。
  • 試験で使った腸溶性の塩化マグネシウム製剤は、酢酸マグネシウムより吸収量が平均67%少なく、成分の放出のされ方も関わると考察されています。

食べた量と、腸に残った量を比べる

試験に参加したのは、25〜35歳の健康な男性8人です。それぞれが、順番を無作為にした8種類の実験条件を経験しました。条件の間は少なくとも1週間あけ、同じ人の中で、摂る量やマグネシウムの供給源を変えて比較しています。

基本の食事は、ステーキ80g、スイスチーズ45g、米飯100gでした。食事を二つずつ用意し、一つを参加者が食べ、もう一つを成分分析に使っています。食品成分表からの推定だけに頼らず、実際の食事にどれだけミネラルが含まれるかを測った点が特徴です。

吸収を調べるために、食事の前と食後10時間に消化管を洗浄し、残っていたマグネシウムを回収しました。体から消化管へ出てくる分は、水だけを摂る条件で調べて補正しています。この差し引きによって求めたのが「正味の吸収量」です。

さらに、食事と一緒に、体にほとんど吸収されない目印となる物質も摂りました。その回収率はおおむね100%で、腸に残ったものを十分に集められたかを確かめています。血液の濃度を一度測るのとは違い、入口の量と、取り込まれずに残った量を対応させる方法でした。

多く摂るほど吸収量は増え、割合は小さくなる

基本の食事に、よく溶ける酢酸マグネシウムを段階的に加えると、食事と追加分を合わせたマグネシウム量は、約36mgから約975mgまで変わりました。これは原著の表にある3.0〜80.2mEqを、元素としてのマグネシウムの重さへ換算した概数です。

この範囲で、正味の吸収量は約24mgから約111mgへ増えています。一方、摂った量のうち取り込んだ割合は、65.0%から11.4%へ下がりました。腸は追加された分も取り込みながら、摂取量と同じ勢いでは吸収量を増やしていなかったことになります。

吸収率と吸収量の違いは、短い計算でも理解できます。仮に100mgの30%を取り込めば30mg、200mgの20%を取り込めば40mgです。この二つは説明用の仮の値ですが、割合が低いほうでも、実際に取り込む量は多くなる関係を表しています。

研究の摂取範囲には、通常の食事だけでなく、補給品やマグネシウムを含む薬で一度に多く入る場面も含まれています。約975mgはこの実験の高い摂取条件であり、日常の補給目標ではありません。量を増やしたときの吸収の動きを、広い範囲で確かめた結果として読めます。

著者らは、吸収量の変化を数学的に検討しました。その結果は、一定のところで取り込みが頭打ちになる仕組みと、腸に入る量に応じて取り込みを続ける仕組みを組み合わせると、よく説明できたとしています。

これは測定結果から考えられた仕組みの解釈です。低い量を効率よく取り込む働きがあり、その働きだけでは対応しきれない量になっても、別の経路で吸収が続く。こう考えると、吸収量が増えながら吸収率が下がる曲線に意味が生まれます。

アーモンドの中のマグネシウムも取り込まれた

次に比べたのは、マグネシウムの供給源です。酢酸マグネシウム、腸溶性の塩化マグネシウム製剤、そしてアーモンドを、それぞれ食事と一緒に摂りました。食品の中にあるミネラルと、溶けやすい塩の形で用意したミネラルを比較しています。

アーモンドは55gで、原著ではおよそ30粒と記されています。この追加分に含まれるマグネシウムは約148mg、酢酸マグネシウムの追加分は約124mg、腸溶性製剤は約128mgでした。完全に同量という条件ではなく、近い範囲の追加量で比べた試験です。

アーモンドの条件では、基本の食事のスイスチーズを45gから20gに減らしています。アーモンドを加えた食事は676kcal、標準の食事は435kcalで、食品の組み合わせやエネルギー量も異なりました。そのうえで、食事由来の分を差し引く方法を使い、追加した供給源からの吸収を計算しています。

結果は、アーモンドと酢酸マグネシウムからの吸収が同程度だった、というものでした。食品に含まれているマグネシウムが、人の消化管で実際に取り込まれたことを確かめた結果です。

この比較のよさは、アーモンドの含有量が多いという情報から一歩進んでいることです。食品の栄養は、成分表に載る量だけでなく、食べたあとに使える形へ移る過程も持っています。この試験は、その過程を実測して、食品からの補給を具体的に捉えています。

55gは吸収を比較するための試験量です。日々の食事では、アーモンドを豆類や全粒穀物などと並ぶマグネシウムの供給源の一つとして捉えると、この発見を身近に生かせます。

同じように溶ける成分でも、放出のされ方で差が出た

一方、この試験で使った腸溶性の塩化マグネシウム製剤は、酢酸マグネシウムに比べ、供給源からの吸収量が平均67%少ない結果でした。塩化マグネシウムという成分自体は水に溶けます。そこで著者らが注目したのが、成分を包む被膜です。

著者らは、酢酸マグネシウムを溶ける形で速やかに腸へ届ける意図で、ゼラチンカプセルを選んだと説明しています。比較製剤の被膜については、既存文献を引用し、中身の十分な放出に3〜5時間かかると考察しています。今回、溶解や放出の時間を直接測定した結果ではありません。

放出が遅れると、成分が小腸で吸収に使える範囲が小さくなり、取り込みが減った可能性がある。これが著者らの解釈です。体へ届く量を考えるには、溶ける性質に加えて、「いつ、どこで中身が出るか」も重要になることが示唆されました。

ここで調べたのは、1991年当時の特定の腸溶性製剤です。酢酸と塩化物だけを単独で入れ替えた比較ではなく、被膜や放出条件にも違いがあります。結果の適用範囲はこの製剤と実験条件であり、現在のすべての塩化マグネシウム製品や腸溶性製剤へ広げるには、それぞれの検証が必要です。

アーモンドの比較と合わせると、この研究は「食品か補給品か」という大きな区分だけでは届き方を捉えきれないことを教えてくれます。食品に含まれるものも取り込まれ、補給品は中身の量に加えて、腸で放出される過程が結果に関わっていました。

ミネラル同士の関係にも、別々の動きがあった

実験では、カルシウムとリンの吸収も調べています。標準の食事に酢酸マグネシウムを増やした条件では、カルシウムの正味の吸収量に有意な変化はなく、リンの吸収量と吸収率は段階的に下がりました。同じ食事の中でも、ミネラルごとの反応は分かれていました。

著者らは、マグネシウムとリンが腸の中で結びつき、溶けにくい形になることを、リンの取り込みが下がった理由として考察しています。変化の大きさは、今回の摂取量と実験条件に沿って読む必要があります。

米国国立衛生研究所の栄養補助食品局は、マグネシウムがエネルギー産生や筋肉・神経の働きを支えると説明しています。豆類、種子、ナッツ、全粒穀物、葉物野菜などは、その供給源になります。いつもの料理に豆や葉物を加え、主食や間食にも選択肢を持つと、食事から補う機会をつくれます。

補給品などから過剰に摂ると下痢が起こり得て、腎機能が低下している場合は体内にたまるリスクも高くなります。今回の高い摂取量は吸収を測るための条件です。研究は若い男性8人による単回の食事試験で、長く続けたときの健康効果や個人の最適量は、別の課題として残ります。

まとめ

食事から栄養を補うときは、食品の中にある成分が消化され、腸で取り込まれる過程まで見ると理解が深まります。アーモンドを使った実験は、その過程を人で確かめ、普段の食品を供給源として考える根拠を示しました。

補給品を理解する際にも、成分名だけでなく、届くまでの仕組みに目を向けられます。栄養を多く摂ることと、体へ届けることの関係を知ると、食事と補給品をそれぞれの条件に沿って考えやすくなります。

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参考文献

* Fine KD, Santa Ana CA, Porter JL, Fordtran JS. Intestinal absorption of magnesium from food and supplements. Journal of Clinical Investigation. 1991;88(2):396–402. https://doi.org/10.1172/JCI115317
* 原著全文PDF https://dm5migu4zj3pb.cloudfront.net/manuscripts/115000/115317/JCI91115317.pdf
* National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Magnesium — Health Professional Fact Sheet. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Magnesium-HealthProfessional/
* Commission on Isotopic Abundances and Atomic Weights. Magnesium. https://ciaaw.org/magnesium.htm (原著のmEqからmgへの概数換算に使用)