お腹の調子に振り回される日々を送っている方にとって、食事の見直しは大きな希望であると同時に、悩みの種でもあります。
よく知られた低FODMAP食を試して、はじめの数週間はたしかに楽になった。ところが数か月たつうちに、また張りや痛み、便通の乱れが戻ってきてしまう。そんな経験をした方は少なくないはずです。
過敏性腸症候群(IBS)は、検査で大きな異常が見つからないのに、腹痛や腹部の張り、下痢や便秘が続く状態を指します。食事療法はその中心的な対策として広く使われてきました。
なかでも低FODMAP食は、腸内で発酵しやすい特定の糖質を減らす方法として定着しています。ただ、その効果がどれくらい長く続くのかは、これまではっきりとは分かっていませんでした。
2026年8月、その持続性に正面から向き合った多施設共同のランダム化比較試験が、腸内細菌の専門誌に報告されました。
記事の要点
IBSの成人を対象に、腸内細菌の情報をもとにした個別化食と標準的な低FODMAP食を6週間続けたあと、追加の食事指導なしで12か月間追った試験で、両者の差がはっきり分かれたと報告されています。
症状の重さを測るスコアは、個別化食では6か月後も12か月後も改善が保たれた一方、低FODMAP食では12か月時点で開始前の水準近くまで戻り、群間の差には統計的な意味がありました。
12か月後に改善が続いていた人の割合は個別化食で62.5%、低FODMAP食で34.5%と差がつき、腸内細菌の多様性も個別化食群で長く保たれていたことが示されています。