焼きいもの皮を割ると、湯気と一緒に甘い香りが立ちます。指に少し蜜がつく、あの黄色い断面。
不思議なのは、その甘さが畑で完成したものではないことです。掘り上げられた後の貯蔵、火が入っている間の酵素の仕事、抜けていく水分。三つの時間が重なって、ほくほく、しっとり、ねっとりという食感と甘さが生まれます。
同じ品種でも、いつ食べるかで表情が変わる。さつまいもが面白いのは、たぶんそこです。
果肉の色も手がかりになります。日本の食卓になじんだ黄白色、β-カロテンを多く含む橙色、アントシアニンの紫色。それぞれ特徴成分が違います。
この図鑑では、一本のさつまいもを、根のつくりから世界への伝播、日本の食文化、品種、糖化、栄養、ヒト研究、保存、安全性まで17章でたどります。気になった章から開いても使えます。