ビタミンB12を生かす鍵は亜鉛?:メチル基の受け渡しを支える仕組み

ビタミンB12を生かす鍵は亜鉛?:メチル基の受け渡しを支える仕組み

ビタミンB12の利用には亜鉛が欠かせない。栄養の話題のなかで以前から語られてきたこの言葉は、出どころをたどろうとしても、なかなか手がかりがつかめない話の一つでした。

調べ直してみると、「B12の利用」とひとまとめにされていた中身は、少なくとも二つの話に分けられます。一つは、B12を使って働く酵素のなかで、亜鉛が反応の相手を整えているという話。もう一つは、B12そのものを細胞の中で加工し、酵素に渡し、止まったら動かし直すという話です。

この記事が中心に扱うのは前者です。舞台はメチオニン合成酵素という一つの酵素で、そこではB12と亜鉛が同じ反応のなかで別々の持ち場を受け持っています。1990年代の細菌の酵素研究から、その分担が少しずつ見えてきました。

記事の要点

  • メチオニン合成酵素では、B12がメチル基を運び、亜鉛がその受け取り手であるホモシステインを反応しやすい状態にしています。
  • 大腸菌の酵素で亜鉛が結合できなくすると、B12があってもホモシステインへのメチル基の受け渡しが止まりました。
  • 亜鉛が直接整えている相手はホモシステインであり、B12自体の加工や再活性化は別の工程として理解すると整理しやすくなります。

この先では、メチオニン合成酵素の中でメチル基が葉酸からB12、ホモシステインへと渡る流れを図にし、亜鉛が働く位置を示します。酵素から亜鉛を除く実験と、食事の亜鉛不足や亜鉛補充の研究がそれぞれ何を示したのかも、分けて紹介します。