亡くなった後に研究のために提供された脳602例を調べると、亡くなる前の1年間に自宅周辺のPM2.5(微小粒子状物質)の濃度が高かった人ほど、アミロイドとタウという2種類の病変が進んでいました。米国ペンシルベニア大学の脳バンクの記録を使った研究で、2025年9月に神経学の専門誌JAMA Neurologyに報告されています。
病変の進み具合は、生前の認知機能と生活機能の低下の大きさにもつながっていて、PM2.5と症状の重さとの関係のうち約6割が、この病変を通る形で説明されていました。
住まいの空気は、一人の工夫では変えにくいものです。一方で、PM2.5と認知症の関係を栄養の側から調べた研究では、ビタミンB6と葉酸の摂取量によって関係の見え方が違っていました。B6が働くのはホモシステインというアミノ酸を処理する酵素で、その先でタウとアミロイドの両方に関わる仕組みが、細胞とマウスで確かめられています。
記事の要点
- PM2.5の濃い地域に住んでいた人ほど、亡くなった後の脳でアミロイドとタウの病変が進み、生前の認知機能の低下も大きいという関係でした。
- 米国の高齢女性7,183人の研究では、PM2.5と認知症の結びつきが、ビタミンB6と葉酸の摂取量が少ない人でだけ見られました。
- B6はホモシステインを処理する酵素の補酵素として働き、日本人の平均摂取量は男女とも推奨量に届いていません。
この先では、ホモシステインがたまると、タウからリン酸を外す酵素の働きがどう弱まるのかを、細胞とマウスの実験に沿って説明します。研究で使われた量とふだんの食事の量の違い、かつお・まぐろ・鮭・鶏むね肉・バナナに含まれるB6の量と、1日の推奨量に近づける組み合わせの例もまとめました。
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