最新|活性酸素の善悪を分ける酵素:その流れを葉酸とB12が支える

最新|活性酸素の善悪を分ける酵素:その流れを葉酸とB12が支える

パンやお酒づくりに使う酵母は、老化の研究でもよく使われる生き物です。細胞が1つで、数日から数週間で一生を終えるので、寿命を延ばしたり縮めたりする仕組みを、遺伝子1つの単位で確かめられます。

その酵母で、活性酸素が「細胞を傷つける毒」になるか「細胞を鍛える合図」になるかの境目を、1つの代謝酵素の働き具合が決めていると、広島大学の水沼正樹教授らのグループが2026年10月16日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)で報告しました。

酵素の名前はSAH加水分解酵素です。働きを少し抑えると活性酸素が一時的に出て寿命が延び、強く抑えると活性酸素が出続けて寿命が縮みました。

結果は酵母の細胞のもので、人で寿命が変わるかは確かめられていません。ただ、この酵素が分解する物質SAHは人の血液にもあり、その量はふだんの食事でとる葉酸とビタミンB12の状態と結びついています。酵素の前後で何が起きているかを見ていくと、食卓の話につながります。

記事の要点

  • 酵母では、SAHを分解する酵素の働きを少し抑えると活性酸素が一時的に出て寿命が延び、強く抑えると活性酸素が出続けて寿命が縮みました。
  • この酵素の反応は逆向きにも進み、人ではホモシステインが増えるとSAHも増えるという関係が報告されています。
  • ホモシステインをメチオニンに戻す反応には葉酸とビタミンB12が要り、日本人の平均摂取量は推奨量・目安量に届いています。

この先では、酵母の実験で「善玉」と「悪玉」の活性酸素が分かれた条件を、薬の濃度と遺伝子の変化の両方から紹介します。人の血液でSAHがどう動くか、ビタミン剤で下がらなかった試験の結果、ほうれん草・枝豆・あさりなどに含まれる葉酸とB12の量も、ゆでたときの差を含めて並べました。