冷やしたトマトを手に取ると、ひんやりとした皮の張りが指先に伝わります。切った断面は、種を包むゼリー状の部分と、しっかりした果肉が層をなす姿です。
夏の食卓ではそのまま塩をひとふり、冬にはコトコト煮込んだソースへ。一年を通して姿を変えながら、私たちの食卓に欠かせない存在です。
このトマトが、南米アンデスの乾いた高地から遠く旅をして今の食卓にたどり着いたことは、あまり知られていません。
ヨーロッパでは長らく「毒がある赤い実」と疑われ、観賞用の植物として庭を彩るだけの時代もありました。品種、完熟度、生か加工かという条件によって、同じ「トマト」でも栄養の顔つきは一様ではありません。
この図鑑では、一つのトマトを、分類、起源、伝来、品種、栄養、リコピンの吸収、研究、加工、安全性まで17章でたどります。気になる章から開いても使える構成です。