最新|ストレスで胸腺が縮む仕組み:亜鉛が足りないマウスでも同じ細胞が失われていた

最新|ストレスで胸腺が縮む仕組み:亜鉛が足りないマウスでも同じ細胞が失われていた

法医学の解剖では、亡くなった人の体に残る痕跡から、生前に何が起きていたかを読み取ります。虐待やネグレクトを受けた子どもの剖検例では、胸のまん中にある胸腺という臓器が著しく小さくなっていることが報告されてきました。

和歌山県立医科大学法医学講座の石田裕子准教授、近藤稔和教授らの研究グループは、この「ストレスで胸腺が縮む」現象の仕組みを、マウスを使って調べました。

胸腺は、免疫の司令塔になるT細胞を育てる臓器です。研究では、1日3時間の拘束を3日続けたマウスで胸腺の重さが体重あたり約40%減り、CX3CR1という受容体を持たないマウスでは約10%の減少にとどまりました。

ストレスのときに増える副腎のホルモンも、この受容体がないと有意には増えませんでした。成果は2026年9月に免疫学の専門誌Frontiers in Immunologyに掲載され、人での検証は今後の課題とされています。

胸腺を縮ませるこのホルモンの増加と、胸腺の外側で育つ未熟なT細胞の細胞死は、亜鉛が足りないマウスでも起きることが、以前から報告されています。

記事の要点

  • 繰り返しの拘束ストレスでマウスの胸腺は約40%縮み、CX3CR1という受容体がないと縮みは約10%にとどまった。
  • この受容体を持つマクロファージが細胞死の合図FasLを出し、ストレスホルモンの上昇にも関わっていた。
  • 亜鉛が足りないマウスでもストレスホルモンが上がり、胸腺の未熟なT細胞の細胞死が増えると報告されている。

この先では、亜鉛が足りないマウスの胸腺で何が起き、副腎を取り除くとどう変わったのかを紹介します。カキや牛もも肉、豚レバーの亜鉛の量と、日本人の摂取量が推奨量にどのくらい近いかも、具体的な数字で並べました。

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