最新|妊娠中の「変な食べ物への渇望」:その正体は脳のセロトニン・スイッチだった

最新|妊娠中の「変な食べ物への渇望」:その正体は脳のセロトニン・スイッチだった

深夜、無性にピクルスとアイスクリームが食べたくなる。妊娠前は好きでもなかった組み合わせなのに、どうしても頭から離れない。キッチンに立ち、冷蔵庫を開けて、自分でも「なぜこれが食べたいのか」と戸惑いながらスプーンを手に取る。

妊娠中の女性なら一度は経験したことがあるかもしれない、あの説明のつかない渇望。パートナーや家族に「またそんな組み合わせ」と半ば呆れられながらも、頭の中で渇望のスイッチが切れることはない。

長年「よくあること」「ホルモンのせい」として片づけられてきたこの現象は、これまで具体的に何が体の中で起きているのか、ほとんど説明されてきませんでした。

周囲に話しても「よくあることだよ」の一言で終わってしまい、本人も家族も、結局のところ自分の意志の弱さのように感じてしまうこともあるかもしれません。そんな長年の謎に、初めて具体的な脳のスイッチが見つかったという報告が、Nature Neuroscience誌に発表されました。

記事の要点

  • マウスを使った研究で、脳の「背側縫線核」にあるセロトニン産生ニューロンが妊娠中に活動を弱め、食べ物への渇望のような行動が増えることが判明しました。
  • 原因はSK3というカリウムイオンチャネルの活動上昇で、これがセロトニンニューロンの発火を抑えていたと報告されています。
  • このニューロンから報酬に関わる脳領域への回路を刺激すると、渇望行動が減少したとされています。

この先では、渇望のスイッチとされるSK3チャネルとセロトニン回路の仕組みを、実験結果とあわせて解説しています。マウスの発見がヒトにとって何を意味するのかも、整理してお伝えしています。