瓶のふたを開けるのに、以前より力がいる。椅子から立ち上がるとき、思わず手をついてしまう。階段を上ると、ひざの上に手を置きたくなる。そんな小さな変化の背景に、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量・筋力の低下)が関わっていることがあります。
サルコペニアは骨格筋そのものの疾患として位置づけられており、転倒や身体機能の低下につながる要因のひとつとして報告されています。
対策の中心はレジスタンス運動ですが、そこに栄養素の補給を組み合わせたとき、筋肉量や筋力にどんな変化が上乗せされるのかを、プラセボと比較したランダム化比較試験(RCT)やそのメタ解析が積み重ねられてきました。
今回は、実際に補給群とプラセボ群を比較した研究から、栄養素ごとに何が報告されているかをまとめます。
記事の要点
- クレアチンをレジスタンス運動と組み合わせた22件のRCT・721人のメタ解析で、除脂肪量が1.37kg多く増えたと報告されています。
- サルコペニアと診断された高齢者を対象にしたホエイプロテインの10件のRCT・1154人のメタ解析で、歩行速度と筋肉量の改善が報告されています。
- 一方、ビタミンD単独を調べた10件のRCTのメタ解析では、筋力・歩行速度・筋肉量のいずれにも改善が見られなかったと報告されています。
この先では、サルコペニアの研究で使われる3つの指標(筋肉量・筋力・歩行速度)を整理しています。クレアチン、ホエイプロテイン、ビタミンD単独について、どの指標がどう動いたと報告されているかを、研究の数字とあわせて解説しています。