高カロリー食を与えられたマウスの脳では、PQBP1という分子の転写量が、1週間の時点でも6週間の時点でも下がっていたと報告されています。PQBP1は、神経細胞のなかでRNAを仕立て直す役目を担う因子です。
この研究は2026年9月12日に Molecular Psychiatry 誌で公開され、東京科学大の岡沢均特任教授らのグループが発表しました。時事メディカルが10月6日付で「高カロリー食で脳神経に異常」と伝えています。
高カロリー食と認知機能の関係は、これまで人の観察研究で注目されてきました。ただ、脳のなかでどの分子がどう動くのかは、詳しくわかっていませんでした。今回は、その途中の経路をマウスで順にたどり、各段階を補うと認知機能の低下が和らぐところまで確かめています。
記事の要点
- 高カロリー食を1週間または6週間与えたマウスの脳では、RNAスプライシング因子PQBP1の転写が下がり、シナプスに関わる遺伝子のスプライシングが変わっていました
- 変化の中心はCASK、Cacnb1、Cyfip2などで、変わった型は神経細胞でのシナプス小胞の放出を弱め、PQBP1やこれらの分子を補うとシナプスや認知機能の障害が改善しました
- 結果はマウスと培養した神経細胞でのもので、人での確認はこれからです
この先では、5つの分子がシナプスの情報伝達にどう関わるかと、補う実験の結果を一つずつ整理します。軽いカロリー制限と食事の見直しを3年続けた高齢者604人の試験の数値も、食べ方の観点から並べました。