明るい店から夜道へ出た瞬間、足元や人の輪郭が見えにくくなる。しばらくすると、街灯の少ない場所でも少しずつ周囲がわかるようになります。目が暗さに慣れる「暗順応」です。
以前の記事では、ビタミンAが肌の細胞分化を支え、亜鉛がその輸送や利用に関わることを紹介しました。Xでは、ビタミンAと亜鉛が夜間視力に関係するという短い話を取り上げています。肌と夜の見え方は離れた話に見えますが、どちらも、食事から入ったビタミンAを必要な組織へ届け、細胞の中で使える形にする仕組みでつながっています。
暗い場所で目が働き始めるまで、網膜の桿体では何が起きているのでしょうか。光を受け取る分子がつくり直される過程をたどると、ビタミンA、亜鉛、鉄、ビタミンB2、そして日々の食卓が一つの流れになります。
記事の要点
暗い場所では網膜の桿体が弱い光を受け持ち、ビタミンA由来の11-cis-retinalを含むロドプシンが、わずかな光を神経の信号へ変えます。
光を受けたロドプシンは再生されます。この循環の材料になるビタミンAの吸収・貯蔵・輸送には、脂質や亜鉛など複数の栄養条件が関わります。
夜盲の妊婦を対象にした試験では、レバー、にんじん、葉野菜、強化米、ビタミンAのいずれでも6週間で暗順応が改善しました。