「鉄が不足している」と聞くと、多くの人が貧血や顔色の悪さを思い浮かべます。ですが鉄には、もうひとつあまり知られていない役割があります。脳の中で電気信号をやり取りする働きにも、鉄は深く関わっているのです。
新生児から大人まで、幅広い年代を対象にした研究をまとめて見直した報告が、医学誌『Nutrients』に発表されました。鉄が足りない状態にあると、脳の電気的な活動「脳波」に、目に見える形で変化が表れることが示されています。
記事の要点
新生児期から成人期までを対象にした30件の研究をまとめた報告で、鉄が不足している人では脳波に一貫した変化(徐波の増加、アルファ波の減少、P300の反応の遅れなど)が見られたと報告されています。
これらの変化は、血液検査で貧血と診断される前の、体の中の鉄が減り始めた段階からすでに起こりうるとされています。
鉄を補うことで脳波の変化の一部は改善したものの、回復の程度には個人差があり、すべてが元どおりになるとは限らないと報告されています。
ここから先では、30件の研究の読み方や、脳波の変化が意味するもの、鉄を補ったあとの回復の度合いを詳しくまとめています。ヘム鉄と非ヘム鉄の違いや、毎日の献立に鉄を取り入れる例もご紹介します。